写真を撮るコツや、撮影アイデア
切り取るシーン、フィルムの魅力まで
写真を楽しむためのヒントをお届けします。

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9枚の写真、1つの視点 ENA.

写真家が切り取った9つの瞬間と、そのまなざしをたどります。何を見つめ、何を感じ、なぜその一瞬を残したのか──写真と言葉を通して、その世界にそっと触れてみてください。

写真家プロフィール

ENA.

子どもの写真を残すためにカメラを購入し、GRⅢとの出会いをきっかけに写真にのめり込む。我が子との日常の記録や日々の風景、また我が子を被写体としたポートレートを主に撮っている。写真を撮るうえで大切にしていることは、自分の感情に素直でいること。

① 部屋に差し込む、傾き始めた日の光と、娘の足。マニュアルで少しずつ調整して、ここだ、というところでシャッターを切った。ちょっともじっとしている、その指の角度がかわいい。我が子の足への愛おしさが滲んだ。

② 直線に伸びる道の上で撮影したくて出かけた夏の日。人も車もほとんど来ない場所で、二人だけの世界にいるみたいにシャッターを重ねた。お礼は娘の大好きなセボンスター。いつもとは違うカメラだったから、色味の調整には時間をかけた。

③ トマトがメインの、トマトフォト。トマトにピンがきていないけど、それも含めてトマトフォトとして好き。ごろごろしている娘の肌がきれいで、寄って撮りたくなった。トマトも、肌質も、肌の色も好き。

④ とにかく惹かれる絵。スマホの待ち受けにするくらいのお気に入り。はっきりしていない感じ、風景が曖昧な感じ。今まで何枚も撮っている場所だけど、その中でもお気に入りの一枚。ゴーストの出かたや、フィルムらしい色、ずれちゃったピントも、全部好き。

⑤ 娘が5歳になった夏の日。「お花買いにいって写真撮りたい!」と娘が言ったので、二人で花を買いにいった。カッコよく撮られたい、って言うからそういう撮影をしてたけど、ふと見せた自然な一瞬に、いつも笑っている娘らしさが溢れた。

⑥ ピンクの花や赤の花を見ると、ついつい撮りたくなる。くっきりとした写り、ボリューム感、色。ずっと好きな写真。フィルムは、お気に入りでよく使っているFUJICOLOR100。

⑦ 娘と海に遊びにいったら、強風で波が荒れていて近づけなかった。どうしよう、って思ってふと娘を見たら、風に靡いた髪が光に透けて、とても美しかった。生まれてから一度も切っていない色素の薄い髪を、逆光で撮る。赤っぽくなった色味も好き。ブレもボケも、飛んじゃってるのも気にしない、撮ったものがきれいならそれでいい。

⑧ 娘とふざけながら、光の当たっている髪の毛を狙って撮っていたときに、狙っていない瞬間がふいに訪れた。いつも笑っている娘だから、笑ってるところがとても娘らしい。いつか生え変わってしまう歯が、この写真に残った。作品っぽいものも撮りたいけど、娘らしい写真も結局好き。

⑨ 初めて望遠レンズを手にしたとき、こういうのが撮りたいな、という絵が浮かんだ。夕方の光と、奥行きを求めて、この場所を選ぶ。帰省先で急遽買ったジャケットが、思いがけずかわいい。望遠らしさを活かしたくて距離をとって撮影した。