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写真通信 2019.08.06

今、なぜフィルムを作るのか?ロモグラフィーが提案する写真の新たな楽しみ「LomoChrome Metropolis」

「写ルンです」の再ブームを始めとする、近年のフィルムカメラの人気っぷり。デジタルカメラの登場によって一度は衰退の一途をたどったと言われたフィルムカメラですが、今、若い世代を中心に再び愛され注目を集めています。

ただ、その一方で、フィルムの価格高騰や生産中止などの悲しいニュースを耳にすることも。一時期よりは大きくなったとされる市場も、まだまだ全盛期のように、とはいきません。

そんな中、ブランドでは初となる、オリジナルフィルムの生産をクラウドファンディングプロジェクトとして発表したロモグラフィー。一体、なぜ今オリジナルフィルムの開発に踏み切ったのでしょうか。プロジェクトの背景と想いを伺ってきました。

ロモグラフィーは、クリエイティブに写真を楽しむ“コミュニティー”

──今日はよろしくお願いします。これまで、ロモグラフィーでは幾度もクラウドファンディングでプロダクトの生産を行なってきているんですよね。

ロモジャパン 佐々木さん(以下、佐々木):そうなんです。これまでには、インスタントカメラやフィルムスキャナーなどの生産を行うためのクラウドファンディングプロジェクトをかれこれ10回ほど立ち上げてきました。

──日頃からクラウドファンディングを活用して生産を行うのはどうしてなのでしょうか。

佐々木:理由は2つあります。まず、ロモグラフィーは、ロモグラフィーを愛してくれるユーザーの声を取り入れながらの生産にこだわっているため。これまでにも、クラウドファンディングの開催中にユーザーの方からいただいた声を参考に開発を行なってきたんですよ。

次に、今後も販売することを想定したときに、しっかりと市場があることを確認するため。フィルムひとつ取っても、企画から製品化までは長い時間を要します。せっかく作るものなら、ユーザーの方に必要とされるものが良いじゃないですか。

クラウドファンディングなら、楽しみに待ってくれている方の数も声も届くので、今の時代、新しいプロダクトを生み出すためにはもってこいだと考えました。

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──ロモグラフィーは、自らの存在を「メーカー」ではなく「コミュニティー」と謳っていますよね。それも、ユーザーの声を活かした製品を作る意思表示なのでしょうか。

佐々木:そうですね。もともと、ロモグラフィーは、ブランドの起源をたどると「Lomographic Society International」と名の付くコミュニティーから始まっているんです。当時、生産中止となっていたコンパクトカメラの「LOMO LC-A」をなんとか残そうと働きかける若者たちによって形成されたコミュニティーです。

生い立ちからして、多くの人の意見を取り入れながら良いプロダクトを生み出すことを重視してきています。

──2000年には、今のInstagramを彷彿とさせる写真共有機能の「LomoHome」もリリースしていますよね。

佐々木:ロモグラフィーは製品そのものにも、現像後の写真にも、よく「ロモっぽい」と表現されるんです。きっとそれは、昔からロモグラフィーと共に写真の楽しみ方を知ってきたユーザーが存在し、ロモらしい価値観が築かれていることの証なのだと思います。



一言では言い表せない色合いこそが特徴。「LomoChrome Metropolis」へのこだわり

──今回、プロジェクトとして発表したフィルム「LomoChrome Metropolis(ロモクローム メトロポリス)」について教えてください。まず、とくにこだわっているのはどういった点なのでしょうか。

佐々木:一番は、今まで販売してきたどのフィルムともまったく異なる、新しい写りである点です。ロモグラフィーで発売してきた LomoChromeシリーズのフィルムでは、特徴的な発色に合わせて「Purple」「Turquoise(生産終了品)」などの名前を付けてきたんです。

ところが、今回のMetropolisは、同じフィルムで撮影しても、写真によって発色が大きく異なるんです。

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佐々木:たとえば、この作例では青色が強いと感じるのではないでしょうか。……では、もう1枚お見せしますね。

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佐々木:この作例で強く出るのは、先ほどとは打って変わって黄色。撮影する場所や天気などによって、一つひとつ違った表情を見せてくれるんです。

変幻自在な色合いを持つ「LomoChrome Metropolis」は、ロモグラフィーの新しいシリーズとして、愛される製品になるのではないかと感じています。

───たしかに、ここまで発色に差があるのは面白いですね……。ちなみに、フィルムの値上がりや生産終了のニュースなどが相次ぐ中ですが、あえてこのタイミングでプロジェクトを発表したのはなぜなのでしょうか。

佐々木:ロモグラフィーとして、フィルムを作り続けることの確固たる意思表示ができるタイミングだと踏んだからです。私たちも、日頃からフィルムカメラで写真を撮っているのですが、どんどんフィルムの選択肢が減っていてすごく切ないと感じるんですよね。

原料価格の高騰によって、フィルムの生産はたしかに楽ではない状況です。ただ、ロモグラフィーは、写真の楽しみを多くの人に届けるために生まれたブランドです。デジタルでもフィルムでも、できる限り多くの選択肢を残しておきたいなと。

そう考えたとき、ロモグラフィーが今フィルムを生み出すことには、なんらかの価値があると感じてもらえるような気がしました。

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──写真の楽しみを多くの人に、ですか。

佐々木:そうです。カラーネガフィルムだけではなくモノクロも試してみる、いつものフィルムだけではなく新しいフィルムを買ってみる、スマホにデータを送るだけではなく印刷してみる。

一口に「フィルム」と言っても、楽しみ方は人それぞれですよね。そこには正解も不正解もありません。日頃使っているメインフィルムだけではなく、新しい楽しみや発見を届けること。それが、私たちがフィルムを作る唯一無二の理由です。



「LomoChrome Metropolis」に隠された未知のポテンシャルを見つけ出したい

──今回の「LomoChrome Metropolis」はフィルムカメラのヘビーユーザーだけではなく、ライトユーザーやこれからフィルムカメラを始めたいと感じている方にこそ届いてほしい製品なのかもしれないと感じました。

佐々木:そう思います。決して高級フィルムカメラでなければ楽しめないフィルムではないですから。カメラによっても、撮る人によっても、違った表情を見せてくれるフィルムなので、それぞれの楽しみ方を見つけてもらいたいですね。

また、いつもフィルムカメラを使っている方には「あえてファインダーを覗かない」「セルフィーを撮ってみる」などの、普段とは少し異なる撮り方にもチャレンジしてみていただきたいです。現像した写真を見てみると、新鮮な気持ちが味わえるはずですから。

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──楽しそうです……! それでは最後に、改めて今回のプロジェクトに懸ける意気込みを教えてください。

佐々木:何よりも伝えたいのは、まだまだ能力が未知のフィルムであること。どんな色が出るのだろう、どんな被写体が映えるのだろうと、私たち自身もすごくワクワクしながら開発を行なっているんですよね。

だから「LomoChrome Metropolis」をぜひ多くの方に手に取っていただきたいですし、いろいろな作例を見て、私たちもまだ知らないポテンシャルを知りたいと思っているんです。一緒に、日頃とは異なる写真の面白さを見つけていきましょう!

──ありがとうございました!



編集後記

──なぜ、今、フィルムなのだろうか。

その答えは、ロモグラフィーの根底にある、写真の楽しみ方を失いたくない想いに隠されていました。人それぞれの楽しみ方はあるけれど、選択肢はできるなら多い方が良い。そんな想いが、今回のプロジェクトの後押しをしているのでしょう。

取材を終えてロモグラフィーの直営店内を覗かせてもらうと、前回のクラウドファンディングで製品化が決定したレンズ「Lomogon」が。

真ちゅうの質感をたっぷり活かしたレンズで試し撮りをしてみたら、日頃持ち歩く機材とはまた異なる、新しいワクワク感に出会いました。

「ああ、これがロモグラフィーが届けたい、写真の楽しみなのかもしれない」。

取材を終えた今なら、彼らが願う写真に込めた熱意を、より深く理解できたような気がします。

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さて、今回のクラウドファンディングは【8月27日】までの開催です。ぜひ、本記事と合わせてプロジェクトページもご覧くださいね。

それでは、最後までご覧いただきありがとうございました!

Interview:Photoli編集部 横尾涼
Text:Photoli編集部 鈴木詩乃

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キーワード

  • フィルムカメラ
  • おすすめフィルム
  • ロモグラフィー
  • インタビュー

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