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写真通信 2019.10.18

フォトスポット溢れるいすみ市の「小商い」な自分らしい生き方に触れる。手づくりマーケット「ホーフ市」レポート

[この記事は、いすみ市起業家発掘及び情報発信業務を受託したTURNS(第一プログレス)がPhotoliと協力して制作しております]


東京から特急電車で約70分。電車に揺られたどり着く、写真を愛している誰もが、夢中でシャッターを切りたくなってしまうまち。それが千葉県にあるいすみ市です。

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いくら写真を撮っても飽き足りないこのまちには、実は美しい景色と同じくらいに魅力的な、とある文化が育まれています。

できればもう一歩踏み込んで、その文化や生き方に触れてみてほしい。美しいだけじゃない、いすみ市の魅力に触れて、人との出会いでもっと楽しくなったなら。そんな思いを綴りました。

誰かに届けたい“気持ち”の部分を最優先に置く。いすみ市で育つ「小商い」とホーフ市

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「いすみ市は、“小商い” を行う人たちが集う場所」と私が最初に耳にしたのは、このいすみ市への取材が決まったときでした。

ちなみに、小商いとは「思いを優先させたものづくりを身の丈にあったサイズで行い、顔の見えるお客さんに商品を直接手渡しし、地域の小さな経済圏を活発にさせていく商い」とのこと。(磯木淳寛さん著書『「小商い」で自由にくらす』から抜粋)

お話を伺いに向かったのが、いすみ市で開催されていた「ホーフ市」でした。

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「おいしいもの、かわいいものが豊富なマーケット、 星に願い(抱負)を込めて。 夏の夕暮れから星のみえる時間まで、お盆で帰省中の方や地元の方々、 みんなコイコイ♪そーれ、フーフー!」(ホーフ市公式サイトから抜粋)

そんな楽しげなコンセプトのもと開かれるマーケット「ホーフ市」に集うのは、飲食・雑貨をはじめとしたプレイヤーたち。

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「まずは身近なマーケットの出店から始まり、そこから少しづつマーケットの主催者に見つけてもらう。そうやってマーケットのコンセプトに合わせ厳選された人たちが集っているのが、このホーフ市なんです」。

と語ってくれたのは、このマーケットを主催する、市塲明子さん(左)と松永さやかさん。(右)

今回で4回目の開催になるホーフ市。こういったマーケットがあることが、コミュニケーションの場になったり、開業のきっかけになったり、小商いな方々の後押しをしています。



この地で活躍する小商いの先輩たちの声を聞いてみた

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この地に根を張り小商いを行なっている先輩方。どんな想いを持ちこの地でちいさな経済を回しているのか実際に出店されていた、いすみ市へ移住やUターンされた作家さん6名にご協力をいただき、お話を伺ってみました。


  • その1:「Another Belly Cakes」磯木知子さん(ケーキ屋)

  • その2:「似顔絵屋☆シミキョウ」清水京子さん(イラストレーター)

  • その3:「おにぎり工房かっつぁん」坂本勝彦さん(おにぎり屋)

  • その4:「Hinako-metal work-」池田ひなこさん(金属を使用したオブジェ・アクセサリー作家)

  • その5:「sayasaya」松永さやかさん (一点モノハンドメイドの洋服ブランド)

  • その6:「チャナリーフ」迎忠男さん(アジアンカフェ食堂)


その1: 「Another Belly Cakes」磯木知子さん(ケーキ屋)

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まず初めにお話を伺ったのは、店舗を持たないケーキ屋「Another Belly Cakes」を運営する磯木知子さん。地元の旬のフルーツを使った、美しいケーキがショーケースに並びます。

あまりの人気ぶりに、この日も店舗前には行列が続き、マーケットを賑わせていました。

― どんな小商いをしているのか教えてください。
磯木さん:「地元の旬素材を使ったケーキを無店舗で販売しています。営業スタイルはマーケットへの出店がメイン。月に1度だけ工房をオープンし、ちいさなお店を開いています」。

― もともといすみ市の人ですか?
磯木さん:「いいえ、もともと東京でパティシエとして働いていましたが、地域関連の取材を生業にしていた夫の影響で、地方での暮らしに興味を持っていたんです。地域に移動しても、カフェやケーキ屋さんで働きたいな、と思っていた矢先、いすみ市でカフェスタッフを募集しているのをたまたま見つけ、移住のきっかけになりました」。

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― 何がキッカケで小商いをするようになりましたか?
磯木さん:「カフェで働くうちに、いすみ市内に個人のケーキ屋さんがないことを知りました。いすみ市は沢山の果物が採れる土地なんです。それだったら、顔の見える距離で、地元の食材で作ったケーキを味わってもらえるようなお店を作ってみたいな、と思ったのが始まりでした」。

磯木さん:「だから、あえて店舗は持たずに今もマーケットを活動のメインに置いています。お客さんの反応を直で感じることができるし、あまり1箇所でじっとしているのは得意ではないんです。いろいろなことに挑戦している人に出会って、刺激をもらう事ができるのも店舗を持たない魅力かもしれません」。

Another Belly Cakes

HPhttps://anotherbellycakes.wixsite.com/rice
Instagramhttps://www.instagram.com/anotherbellycakes/


その2: 「似顔絵屋☆シミキョウ」清水京子さん(イラストレーター)

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次にお話を伺ったのは、個性的でゆるいイラストがトレードマークの、イラストレーターのシミキョウこと清水京子さん。ご本人の和やかな雰囲気がイラストへ映し出され、癒される感覚をいただきました。

― どんな小商いをしているのか教えてください。
シミキョウさん:「いすみ市でフリーのイラストレーターとして働いています。マーケットにもたまに出店させてもらっていて、今回は似顔絵のイラストを描いています。ただ顔を見てスラスラ筆を走らせるのではなくて、来てくれた人と少し話しながら、イメージを掴んだ後に描くスタイル。その人の内側にある心が滲み出るようなイラストを描きたいんです」。

― もともといすみ市の人ですか?
シミキョウさん:「はい、もともといすみ市の生まれです。東京に上京して40歳を過ぎた頃、Uターンで戻ってきました」。

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―実際にいすみ市で小商いをしてみて、どう感じていますか?
シミキョウさん:「東京にいた頃は本当に激務で、残業も当たり前。誰のための仕事か、誰のためにこうして走っているのかが見えにくかったんです。けれどいすみ市では、ちいさな地域で経済が回っているので、だいたい発注者も知っている人になる。そうすると直に反応を見られて良いですね。ここでやりたい仕事ができるのは、本当にすごく幸せだと感じています」。

シミキョウさん:「あれこれ欲を出して、高望みはしないでいたいなあと感じています。良い意味で現状を維持していきたいと思っていますね。イラストを楽しむ心を忘れない人でありたいんです」。

シミキョウ

Facebookhttps://www.facebook.com/kyoko.shimizu.961


その3: 「おにぎり工房かっつぁん」坂本勝彦さん(おにぎり屋)

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3人目は「かっつぁんのおむすびは絶対に食べた方が良い」と地元の人がおすすめする、いすみ米で愛情たっぷりのおにぎりを握ってくれるのは、かっつぁんこと坂本勝彦さん。いすみ市の田園風景に一目惚れし、いすみ市に移住を決めたそうです。頼れる兄貴感が表情で伺えます。

― どんな小商いをしているのか教えてください。
坂本さん:「いすみ米を使用したおにぎり屋を商いにしています。平日は自宅の隣に作った店舗で販売していて、週末はこんな風にマーケットに出店しています。いすみ米をもっと多くの人に知ってもらいたいし、届けたいと思っているので」。

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― 東京でも飲食関係の仕事についていたのですか?
坂本さん:「いえ、全然そんなことはなくて。当時は東京でサラリーマンをしていたので、移住後もいすみ市から東京まで通う生活をしていました。ただ、周囲は田んぼに囲まれているので、自然と農家さんと知り合う機会が増えて、話をしているうちに、高齢化でお米を作り続けることが困難だったり、当時いすみ米の知名度があまり高くなく、なかなか売れないなど。そんな現状を肌で感じるようになったんです」。

坂本さん:「それで、この人たちと地域のために何かできることはないかなと思って、ゼロからおにぎり屋を始めました。儲けることは難しいけれど、周りの人たちが笑顔になってくれることが、何よりモチベーションになっています」。

― 今後こんな風になりたい・したいと思っていることがあれば教えてください。
坂本さん:「僕が移住した頃とは少し状況が変わってきていて、今のいすみ市には『小商いをしたい!』と思って移住してくる方が本当に多いんです。そんな人たちのサポートをいかにしていくか、より良い環境で共存していくか。そこを考えて解決していきたいと思っています」。

おにぎり工房かっつぁん

HPhttps://katsu3.jimdo.com/


その4: 「Hinako-metal work-」池田ひなこさん(金属を使用したオブジェ・アクセサリー作家)

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4人目はオブジェ・アクセサリー作家の池田ひなこさん。2018年に25歳の若さでいすみ市に単身移住しました。小さな頃から「自然の中で暮らしたい」と強く願っていた池田さんの移住のきっかけは、グループ展でのアーティストとの出会いでした。

― どんな小商いをしているのか教えてください。
池田さん:「銅と真鍮(しんちゅう)を使ったアート作品を作っています。もともとは帽子などの小物を製作していたのですが、鍛金(たんきん)が楽しくて、ジュエリーの方向に転身しました。今はフリーランスとしてマーケットや展示会を中心に活動しています。最近は空きスペースを活用したシルバーアクセサリー教室なども始めました」。

― 移住のキッカケはアーティストさんとの出会い?
池田さん:「そうなんです。もともとは東京の専門学校に通っていたのですが、参加したグループ展にいらっしゃった方がいすみ市在住の方で。実際に案内してもらったら、海も山もあって自然は豊かだし人も温かいし。何より、“小商い“という生き方で、自分らしく生きている人たちがたくさん暮らしているのも魅力的だったんです。一瞬でいすみ市が好きになってしまって移住を決めました」。

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― 実際に小商いをしてみてどう感じていますか?
池田さん:「ホーフ市のようなマーケットが、いすみ市を始め房総エリアのさまざまな場所で行われているので、人と人が繋がりやすい、とてもありがたい環境だなと感じています。また、先ほどの話とかぶってしまいますが、何よりも環境が良い。生活費がローコストで済むため、新しいチャレンジがしやすいし、静かなので作品作りにも打ち込みやすいんです」。

池田ひなこ

Instagramhttps://www.instagram.com/_hinakoikeda_/


その5:「sayasaya」松永さやかさん (一点モノハンドメイドの洋服ブランド)

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5人目は、このホーフ市を主催しながら、自身もオリジナルブランドを展開しているsayasayaこと松永さやかさん。お店の中には、ときめく洋服がたくさん風に揺れていて、ひっきりなしにお客さんが訪れていました。

― どんな小商いをしているのか教えてください。
松永さん:「“sayasaya”という名前の、すべて1点ものの手作りの洋服ブランドを立ち上げています。パターンから手作りしていて、その人の体型に合わせた、心地よい服づくりを心がけています。実際に会って喋ってみて、顔の見える距離でのものづくりが、sayasayaの洋服の魅力です」。

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― もともといすみ市の方ですか?
松永さん:「もともとは東京で会社員をしていました。いつかは自分のブランドを…と思っていたときに、いろいろなタイミングが重なって出会ったのがいすみ市でした。私自身はあまりよく知らない土地だったのですが、旦那さんがいすみ市をすごく気に入っていて。それならば、と移住を決めました」。

― いすみ市で小商いをしてみてどうですか?
松永さん:「いすみ市周辺エリアでは毎週末のようにマーケットが開催されていて、露出はとてもしやすい環境にあると思います。なので、小商いを始めやすいかなと。横へも繋がりやすいので、一度広がり出すと認知度が高まるのも早いですね。出店のお声がけもされやすくなる気がしています。現在はマーケットを中心に出店していますが、ハンドメイドで、お客様に合わせて服を作るスタイルなので、店舗兼アトリエが欲しいな、と思っていて今絶賛準備中です」。

松永さん:「マーケットで露出して覚えてもらいつつ、実店舗でゆっくり、丁寧に向き合えるような場所を用意して。より良いバランスを探しながら、そんな働き方を目指しています」。

sayasaya

HPhttp://sayasayas.com/
Instagramhttps://www.instagram.com/sayasaya_insta/


その6: 「チャナリーフ」迎忠男さん、裕美さん(アジアンカフェ食堂)

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いよいよ6番目、最後にご紹介する方は、カレー屋「チャナリーフ」を営む迎さんご夫婦。お2人の笑顔がとても魅力的。ご主人はキッチンカーや、このマーケット「ホーフ市」の会場装飾も手掛けているセンス、なんとも言えない味わい深さです。

― どんな小商いをしているのか教えてください。
迎さん:「いすみ市の森の中でアジアンカフェ食堂を運営しています。週末はこんな風にマーケットに出店させてもらっていたり、もともとの音楽好きが講じて毎月音楽イベントを主催したり。店舗を構えつつもマーケットやイベントも並行して行うのは、やはりいろいろな人に会いたい思いが強いからなのだと思っています」。

― もともといすみの方ですか?
迎さん:「僕が長崎県、妻が神奈川県の川崎市です。もともと南インドによく行っていて、そこでスパイス料理を習っていました。いつか、南インドみたいな自然が豊かで、少しユニークな場所でお店を出したいな……と思っていたところ、このいすみ市と出会って。どんぴしゃでした」。

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と、まだまだご紹介したい、聞いてみたいこと「南インドといすみ市は似ている…!?」など気になりますが、チャナリーフさんには、再度11月に詳しくお話をお伺いする予定です。お楽しみに!

チャナリーフ

HPhttps://chanaleaf.com/
Instagramhttps://www.instagram.com/chanaleaf_jp/



ホーフ市は生きていく上で「仕事ってなんだろう?」を考えさせてくれる場所

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都会に暮らしていると、無意識に他人と競ったり、ついファイティングポーズをとってしまったり。そんな事を繰り返しているうちに、いつの間にか私の中で「仕事」はイコールで「誰よりも稼ぐこと」や「誰かに評価されること」が正解になっていました。

いすみ市で暮らす人たちの、少しだけ背伸びしながら自分の“好き“や”やりたいこと”を仲間達と叶えていくホーフ市の出店者の方々の生き方は、私の仕事の考え方の中に新たな選択肢を気づかせてくれた気がしています。

そして本当に「起業したい」と思った時、頼れる先輩方や整った環境のあるいすみ市だったら、始めやすいと感じました。

なんだか息苦しいなあと感じたら、ゆるり等身大の自分を認めながら前に進んでいく、
いすみ市の小商いな生き方に触れてほしい。

そんな想いを抱かせてくれた、いすみのマーケットでした。

(写真:Photoli)

キーワード

  • 夏のいすみ取材旅
  • ホーフ市

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